2024/12/4

宅建士の業務委託って正直どうなの?契約書の作成ポイントなど弁護士が解説

はじめに

近年、不動産業界においてフリーランスやエージェントへの業務委託が注目を集めています。

このような状況下で、法的リスクを適切に管理しながら、安心して業務を外部委託するにはどうすればよいのでしょうか?

本記事では、委託者側・受託者側双方にとって重要な注意点を解説していきます。

※YouTubeにも同内容の動画を投稿しています。ぜひ合わせてご覧ください!

委託できる業務の範囲

不動産業務の委託可能な範囲は多岐にわたります。

参考までに、以下を挙げておきます。

  • 不動産の購入・売却・賃貸見込客の発掘および接客業務
  • 顧客からの申込み受付業務
  • 重要事項説明の実施
  • 賃貸・売買契約締結に関する手続き業務
  • 住宅ローンの事前審査受付業務
  • 住宅ローンの本申込み受付業務

これらの業務を円滑に進めるため、委託者は必要な資料や情報を受託者に提供することになります。

業務委託契約書の作成ポイント

以上のような業務を委託する場合、委託者側として注意すべきポイントは何があるでしょうか?

究極的にはケース・バイ・ケースですが、多くの場合に当てはまる注意点を以下の通り解説していきます。

損害賠償条項の重要性

業務委託契約において、損害賠償に関する条項は特に重要です。

受託者の業務上のトラブルにより委託者が損害を被った場合の補填・賠償について明確に規定する必要があります。

また、第三者が損害を被った場合における委託者・受託者の負担関係(求償権)についても明記すべきでしょう。

秘密保持義務の明確化

委託者から受託者への情報提供に際し、秘密保持に関する条項は不可欠です。

特に以下の点に注意が必要です。

  • 「秘密」の定義を契約書内で明確にすること
  • 原則、開示、漏洩、第三者利用の禁止事項を具体的に規定すること
  • 必要に応じて秘密保持義務の例外規定を設けること

委託者は受託者に業務に必要な資料や情報を提供する必要があります。

これらの「秘密」は原則として開示、漏洩、第三者利用を禁じます。

ただし、実務的には例外が認められることもあります。

また、「秘密」が契約書で明確にされていないと法的保護が受けられないこともあるので注意してください。

契約解除条項の具体化

契約解除に関しては、以下の点を明確に規定する必要があります。

  • 催告解除、無催告解除、無条件解除、中途解除などの解除態様
  • それぞれの解除事由
  • 中途解除時の業務委託料の取り扱い

例えば、中途解除(解約)の場合に、業務委託料の支払いについて明記しておくことが望ましいです。

実費負担の取り決め

業務遂行に伴う実費について、負担者や負担割合を明確に定めておくことが重要です。

全額負担とするのか、一部負担とするのかなど、具体的な取り決めが必要です。

その他の重要事項

宅建業特有の事項として、以下についても契約書に明記することをお勧めします。

  • 兼業禁止に関する規定
  • 従業者証明書の発行
  • 従業者名簿への記載

この辺りは、私の方でも調査しきれていないですが、もし必要そうであればリサーチして、別途説明動画を出すかもしれません。

まとめ

不動産業務の委託において特に注意すべき点は以下の4点です。

  • 受託者の業務範囲の特定
  • 損害賠償条項の明確化
  • 秘密保持義務の具体的規定
  • 契約解除条件の詳細な取り決め
  • 実費負担の明確化

また、業務委託契約であっても、その実態によっては雇用契約と判断される可能性があることにも注意が必要です。

業務委託契約についてお悩みの方はまず相談を

業務委託契約の作成や見直しについてお悩みの方は、専門家への相談をお勧めします。

適切な契約書の作成により、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。

お悩みの方は、まずは森下総合法律事務所までご相談ください。

プロフィール

西明 優貴

森下総合法律事務所代表弁護士
昭和63年富山県生まれ

不動産に特化した弁護士として、不動産企業や投資家の悩みを迅速に対応している。

司法試験に上位4%で一発合格し、7年目で独立開業。1日最大5件の法律相談を受け、特にスピードが求められる案件で高い評価を獲得。数千万の賠償事案も数ヶ月で解決した。顧客からは「我が社が依頼する弁護士で、今一番仕事が早いのは西明」と評される。

業界大手からの相談も受けており、売買、仲介、賃貸、管理だけでなく、借地、火災・漏水、破産管財などにも幅広い守備範囲で対応する。

実績としてフジテレビ「ノンストップ!」解説、東京地裁破産管財人選任など。

東京弁護士会所属

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